手仕事と歌と、オチのない思索を愛する日々(しばらくは兄の死にまつわることを中心に綴る)


by silver_gypsy

日本のグリーフケアの現状

かなり以前から、PTSDや依存症などメンタルな課題に向き合う人の自助活動(セルフ・ヘルプ)の取り組みについて関心があり、色々調べたり本を読んだりすることは多かったが、今回突然に兄の死に接したことで、私自身もいわばトラウマを抱えた人間の仲間入りをしたことになる。
そこで、今私の関心は、死別体験者におけるセルフ・ヘルプへと広がっている。東京から戻って以来、死別の悲しみを受け入れ消化するプロセス=グリーフワークをサポートする国内の団体を探し、アマゾンなどで関連書籍を求めて渉猟した。
ネットで検索した限りでは、国内では身近な人を亡くした人のためのセルフ・ヘルプ・グループは数えるほどしか引っかからず、またその多くが大都市、特に東京に集中している。配偶者を亡くした人の会や、乳幼児突然死症候群・流産等で幼い子どもを失った親の会、自死遺族の会、犯罪被害者遺族の会といった、参加者のカテゴリを限定している会も多い。ちなみに私の実家のある青森県については、南部地方にある犯罪被害者とその遺族の会1件だけしか、私は見つけることが出来なかった。
つまり日本の現状では、地方在住で死別を体験した人、中でも自分の子ども以外の人間の、犯罪や自殺以外の理由による死を体験した人には、時間とお金を作って大都市圏まで出向かないかぎり、同じ経験を持つ人と定期的に語り合って悲しみを乗り越える助けを得る、というチャンスがなかなかないわけだ。
そもそも地方に行くほど情報量は不足しがちだし、情報を得る手段そのものをあまり知らない世代の人も多い(今の世の流れについていけない人も多いだろうし、ついていく気がない人もいるだろう)。それに、ちょっとした移動にかかる体力的・経済的負担も、高齢になるほど重くのしかかってくる。
アメリカでは全土に多数の遺族の会があり、死別体験を分かち合うことが苦痛を癒す大きな助けになると言うことも広く理解されているようだ。私はアメリカという国はあまり好きではないが、日本の地方の町々には、有効な方法があることも知らずに苦しみに耐え続けるしかない人が沢山いるのではないかと思うと、アメリカ羨ましいぞと思わずにはいられない。せめて掲示板やSNS内の関連コミュニティなどで、良いものがもっと出てくれば良いのだが。

さしあたって、私の住む北海道には、元上智大教授で死の準備教育(デス・エデュケーション)を提唱したアルフォンス・デーケンらにより創設された「生と死を考える会」の支部があるらしい。当事者の分かち合いの会も定期的に行っているようなので、機会があったら覗いてみようと思っている。
デーケンの本も今読んでいる。そのうち感想をアップするかも知れない。
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by silver_gypsy | 2007-05-23 01:21 | グリーフワーク